朝のコーヒーを入れようとしたその瞬間、電話が鳴った。
すみませ〜ん!パソコン、ログインできへんのですけど〜!
あ、現場ちゃんだ…
朝イチから賑やかですわね。
でも、“ログインできない”といってもいろんな意味がありますわ。
現場ちゃん、どんな画面出てる?
なんか黒い画面で、英語で“Enter Password”って出てるんです!
……英語、黒い画面、電源入れてすぐ。いやそれ、WindowsじゃなくてUEFIさんでは?
■ これは……UEFI(古のBIOS)!?
英語でパスワード入力。
Windowsの前に出てくる。
確実に UEFI(古の人はBIOS) の世界だ。
でもおかしい。
うちの会社では、もう UEFIパスワードはかけない運用 に切り替えている。
共通パスワードを使っていたのは昔の話。
今は、bitlockerや他のセキュリティソフトがあるため、あえて「何もかけない」がルールになっている。
つまり、かかってる時点でおかしい。
???が5個くらい浮かんだ。
とりあえず昔の共通パスワードを伝えてみる。
……「違います」と返ってきた。
いや違うのかい。
■ いったい誰がそんなことを?
「そのパソコン、普段誰が使ってるの?」
『あ、うちの親方がメインで使ってはります!』
……はい出ました。
トラブルの香りがする単語、親方。
■ 親方、なぜパスワードを。
現場に行って事情を聞くと、親方が笑顔で言った。
「おぉ、それ俺がかけたで!」
……まさかの即答。潔すぎる。
しかも悪びれていない。
「なんか勝手にいじられたら困るやろ? せやから守っといた!」
……親方。
その“守る”の方向、90度ずれてます。
誰も入れないようにしてどうするんですか。
しかも、そのパスワードが問題だった。
■ パスワード、その名も「oyakata」
「何にしたんですか?」
「えーっとな……“oyakata”!」
……まんまやないか。
自己主張のかたまり。
この世に数多ある単語の中で、それ選びます?
他部署ちゃんも頭を抱える。
■ そして奇跡のヒット
「でもな、もしかしたら“oyakata123”やったかもしれん」
——え、まさかと思いながら入力してみた。
ピッ。
Enter Password → Unlocked.
通った。
……通ってしまった。
現場に沈黙が流れる。
そして親方、ドヤ顔で一言。
「ほらな、ちゃんと覚えとったやろ!」
いや、覚えてたのはえらいけど、なんか遊戯施設みたいな名前になってるし。
解除パスワードにギャンブル性はいりません!
あ、そういえば親方ギャンブル好きだもんね。
というか、そもそもかけないでください。
■ システム部門、崩れ落ちる
一応説明した。
「次からは必ず、設定変更はシステム部門(つまり私)に相談してくださいね」
「おう、わかった! じゃあ今度はブート順も触っとくわ」
「やめてください。」
■ 今日の教訓
- 現場には“独自セキュリティ”が存在する
- パスワード「oyakata123」は強くない。というか親方が突然蒸発したら、解除不能なんですけど
- 守るのと閉じ込めるのは違う
- でも、当てたのはちょっとすごい
- そしてやっぱり、親方は憎めない
ほんと親方、悪気ないのはわかるんだけどね〜。
まぁ悪気がないほうが殺意高いトラブル起きるんだけどね…
“守りたい、この職場(ただし本人が原因)”って感じですわね。
……次はどんな鍵がかかるのかしら?
…やめてよ。
ホント余計な仕事は増やさないでほしい。
ウチはとりあえず使えればなんでもいいです!
ユーザー視点ではそうだよねぇ…